20歳以上の読者の皆さん、たまには飲み屋へ行かれる方も多いと存じます。 (えっ、毎日のようにですか?)
そんな場で、流れてくる音楽のなかに、たまに不思議と耳にはいってくる歌声がある。 そんな時、「あれ?」と思うようなことはありませんか?
ここでは、そんなことがなぜ起きるのか、分析していきます。
だいたいの飲み屋では、ラジオや有線放送から音楽が流れてきます。 でも、それはあくまでも「バックグラウンド・ミュージック(BGM)」であり、 それ以上の何ものでもないのが普通です。 そして、自分がラジオや有線放送にリクエストをしたのでなければ、 まず真剣にその音楽を聴くことはしないですよね。 そこに集まった人と話し込むとか、ひとりで愚痴をこぼすとか、 そんなものではないでしょうか。
さて、そんな時を過ごす中で、ふと「あの歌声」が聞こえてくる。
あれ?
これこそ、その歌手の「声質」を評価する瞬間なのです。
いつものあの声が聞こえてくる。ほっとする、または不快に思う、 それはどちらでもいいのです。
「あの歌手」の声だ、とわかることが非常に重要なのです。
いまは有線放送にもだいぶ注目が集まるようになったせいか、 ちょっと違うようですが、ひと昔前ぐらいまでは、有線放送のヒット・チャートは、 「声質」評価のバロメーターとして、不動の地位を誇ってきました。 これは、そんなところに原因があるのです。 どんなにレコードが売れている歌手でも、飲んで、しゃべりながら 「あの歌声」が聞こえてこないのでは、有線放送チャートの上位にはこない。 当然ですよね、そうでなければ「聞こえてこない」のですから。 そして、「聞こえてこない」のであれば、リクエストする意味も なくなってしまうのですから。
ちょっと待って、といいたい方もいらっしゃるかも知れません。 でも、これが現実なのです。 決して「きれいな声」だから、「声質」を評価する わけではありません。「よく通る声」であればよい、というものでもないのです。 そんな人でも、独自の声で、かつどんな曲を歌っても「同じ人」だと認識できる ことが、「声質」を評価してもらうには必要なのです。
『歌唱力』を評価することの難しさというか、不条理さというか。 「声質」の評価には、そんなものがあります。
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1998.09.10作成 ka_ka_shin@yahoo.co.jp