「『歌唱力』の構造」・プロローグ

〜歌の「うまい」「ヘタ」ってどう決めるの?〜

 あなたはなにげなく、「ーあの人、歌うまいね」「ー声がいいよね」なんて口にしていませんか? そう、カラオケボックスなんかで、結構言ってしまっているもの。 でも、それって、どんな基準で、どうだから、って具体的に説明できますか? おそらく、かなりの人が、「具体的にって言われても……」と、答えに窮してしまうのではないか、と推測します。
 プロローグでは、果たしてどういう場合に、「歌がうまい」「声がいい」と言われるのか、 身近なところから、ちょっと考えてみることにしましょう。

 たとえば、「声がいい」といわれる基準には、「声がよく通る」「きれいな声」「渋い声」などなど。 「歌がうまい」といわれる基準には、「かっこよく歌える」「テクニックがある」「声がいい」などなど……。
 これを見る限り、身近なところでは、だいたいの感覚で「歌がうまい」「声がいい」という印象を持つことがわかります。 そしてもうひとつ、「表面的なものにだまされやすい」傾向も見えるような……。 このことについては、「歌がうまい」の条件に「声がいい」ことがはいっている、というところとともに、あとで詳しく解明していきます。

 それにしても、どうしてこれまでの長い間、『歌唱力』というものが、"感覚的に"しかとらえられてこなかったのか、 そのことが実に不思議でなりません。
 確かにその昔、本当にきちんと歌える人でなければ歌手になれなかった時代には、一般にはそんな尺度は必要とされなかったでしょう。 しかし、歌がヘタでもかわいければ歌手として売れる時代になり、またカラオケが一大ブームのあと生活に定着を見せている現在においても、 依然として『歌唱力』が"理論的に"とらえられることはまずありません。 そのうえ、「しょせん歌謡曲」、という視点があることも事実でしょう。 すなわち、そんなものをわざわざ論じてもしかたがない、という「論理」です。 それらに加えて、各種「音楽祭」という名の自己満足行事で、 いいかげんな一部の評論家や、テレビ・ラジオ関係者の独断によって、 「最優秀歌唱賞」が決められてきたことも、さらに『歌唱力』をわかりにくいものにさせているのではないでしょうか。

 これからの章では、 という三段階法で、お話しをすすめていきます。
 でも、堅苦しい論述にするつもりはまったくありません。 むしろ楽しみながら新しい発見をしたり、遊び半分で意外なことに気づかされたり、といった方向へ ご案内したいと思います。
 もし、「これはわかりにくい!」「それは違う!」といったことがありましたら、 「ご意見頂戴!」掲示板までご一報ください。 どうすればわかりやすく、何が正しいのか、一緒に議論し、よりよいものにしていく所存です。

 これからの文章で、みなさんにとって何かひとつでも得るもの、発見があれば幸いです。

199x年x月x日
歌謡歌手診断士 石原隆行

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1998.08.08作成 1999.05.19更新
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